空を翔ける一筋の流れ星
その日のバイトは散々で、レジは打ち間違える、整理しようとしていた本棚の本は大量に床に落とすなど、慣れているはずの俺には考えられないようなミスの連続だった。

閉店までのシフトだったが、逆に店長に心配されて一時間前の九時に上がることになった。

いや、心配していたのは表面だけで、昨日の欠勤のことも含めて内心は呆れられていたのかもしれない。



普段なら電車で一駅乗っていくのだが、今日は歩いて帰ることにした。

一駅といっても、路線が分岐しているため道を真っ直ぐの一駅ではない。

更には坂道もあるため、終電を無くしたとき以外で歩いて帰るのは実は初めてだった。


「ふう」


大きくため息をつきながら、北口の階段を下りたところのロータリーを歩き、ゆっくり津久井道へと続く道を進む。



今、少しでも背中を押されたら、思い切り前のめりに倒れこんでしまいそうだ。



今、何かを話し掛けられたら、全く見当違いのことを答えてしまいそうだ。



今、妃來に何かを言われたら、思い切り八つ当たりしてしまいそうだ。
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