空を翔ける一筋の流れ星
シャワーを浴びるどころか、着替えもせず部屋の明かりを点けっぱなしで寝てしまっていた。

そんな状態から目が覚めたのは、耳障りに鳴り響く携帯の着信メロディだった。

自分が好きでこの曲にしたというのに、睡眠の邪魔をされるとなると耳障り以外に他ならなかった。

ちらりと部屋の時計を見ると、夜中の十二時になろうかという時間だった。


「何だよ、こんな時間に」


不機嫌な声で出るつもりはなかった。



しかし、寝起きの俺の喉はいきなり調子を良くできるほど、立派になどできていなかった。


「その声・・・もう寝ていたのか?」


こんなにも不機嫌な声だというのに、一葉は何事もないように淡々と話し掛けてきた。



エアコンを消し、ゆっくりと立ち上がり窓を開ける。

八月も終盤になり、ほんの僅かだがピーク時よりも涼しく感じた。

月明かりが綺麗で、電気を消してもその明かりで十分に部屋中が照らし出されそうだ。

そのぶん、周りの星たちは隠れてしまっているが。


「大学生が十二時前に寝ちゃ駄目なのかよ」


窓の手摺に両肘を乗せて、綺麗すぎるほどの月をぼんやりと眺めた。



もし、空がいたのなら、きっと今頃は後ろで嬉しそうに騒いでいるに違いない。



そんなことを思った自分に嫌悪感を抱き、舌打ちをしてしまい、更にその後にため息をついた。


重症だな


そう、思った。
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