空を翔ける一筋の流れ星
「聞いたよ・・・いなくなったんだってな」


「・・・」


どうしてだろう。



一葉が悪いわけではない。



きっと、慰めとか、そういう類の電話をしてきたということなど、容易に分かることだ。



それでも・・・


「ああ」


苛立ちが込み上げてしまうのは、どうしてだろう。


「わりい。

やっぱり、今のタイミングで電話したら駄目だったな」


その言葉で、どうにか腹の中にある苛立ちが治まっていくような気がした。

危うく俺は、親友の好意に対して最低なことをするところだった。


「いや、俺のほうこそわりい。

あまりにも突然だったから、多分、俺、動揺してる」


床に寝転がり、頭を力強く掻く。

先ほど眠っていたため、少し寝癖がついていた髪型が更に無残な姿へと変化していく。


「そうか。

落ち着くまで俺たちは何もしないほうがいいのか」


「そうしてくれると有り難い」


この言葉で電話が切られると思ったが、沈黙が続くものの切られることはなかった。

何もしないほうがいいと言ったが、それでも気になる一葉なりの考えなのだろう。

それに対して、黙っているだけというのは俺自身もあまり良い気はしなかった。


「一応、居そうな場所はいくつか心当たりはあるんだ。

だけど、心当たりはあっても根拠はない」


それを聞くと、「じゃあ」と言って一葉は電話を切ろうとした。
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