空を翔ける一筋の流れ星
小さい声で言ったつもりだった。



俺がもしその声で話されたら聞き逃してしまうような、それくらい本当に小さい声で呟いたはずだった。


「えっ」


それなのに、その呟きに一葉は反応し、切るはずの電話を切らなかった。



そして、再び二人の間に沈黙が訪れた。


「なあ、翔。

明日、確か四限あがりだったよな。

ちょっと、付き合ってほしいんだ」


一葉には珍しく、俺の都合など全く聞かないで話を進めていった。

あまりにも珍し過ぎて、一葉の勢いに押されるがままに、俺は明日の授業が終わったあとの予定を決められてしまった。


「じゃあ、明日はよろしく頼むわ」


最後に一言残して、一方的に電話を切った。



明日はバイトも休みで、授業が終わってから空が居そうな場所を探すつもりだったから、それが一葉の予定に付き合うことに変更になっても何ら支障はないだろう。



ため息をまた一つつき、ゆっくりと体を起こし、着替えのシャツとパンツを取り出してユニットバスへと移動した。
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