空を翔ける一筋の流れ星
その日は二限から三限、四限と授業が続く予定だったが、目を覚ましたときには時計は十時を指していた。

かなり急げば十一時には教室に着ける時間だったが、この暑さのなかでそれは自殺行為に等しいものだった。

二限は諦めて、三限にゆっくりと間に合う十一時十五分にアラームをセットし、再び布団の中へと体を丸めこむ。


-ちょっと、付き合ってほしいんだ-


昨日の一葉の言葉が甦り、頭の中から離れなくなってしまう。



実際に表情を見ていないから何とも言えないが、きっと電話の向こう側ではどこか切ない表情をしているような声だった。

一体、何に付き合えば良いのだろう。

そう考えると、二度寝などできるはずがなかった。



頭の中の考えと葛藤しているとき、携帯電話のメール受信音がなった。

慌てて布団から体を出して携帯電話を開くと、送り主は妃來からだった。


  ノートは素直になったら貸してあげる


そういえば、二限は妃來と授業が一緒だったことを思い出し、昨日のことを考えると、やはり諦めて良かったと少しだけ思ってしまう。

だけど、いつまでもこんなことをしてはいけないことは明確で、少しでも早くノートを借りられるように何とかしなければと思い、ゆっくりと学校に行く準備を始めた。
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