空を翔ける一筋の流れ星
背中にそっと手の感触が伝わる。



この暖かさと、重さは間違いなく妃來だ。



このまま、妃來の優しさに甘えたい気持ちを必死で押し殺す。

今は、これからは、そういうわけにはいかないのだ。


「俺も・・・」


妃來の掌を傷つけないように払い、前を見た。



夜景が・・・



夜景がいつもよりも綺麗に見えた気がした。


「俺も壁を壊して、前に進まなきゃな」


小さく「ふっ」とだけ漏らして、一葉はズボンのポケットに両手を入れた。




妃來は何も口にせず、夜景を眺めていた。


「また、そのうちにひょっこりと出てくるんじゃないかな。

あっ、これは前に進んでいないのかも」


そんなことを言って一人で笑うと、妃來も隣で小さく笑った。


「おい・・・翔」
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