空を翔ける一筋の流れ星
レポートを書き続けた右手を止めて一呼吸し、何字くらい書いたかと思いレポート用紙の字を指でなぞった。

その横では妃來と空が嬉しそうに話していて、それを見るとその行動が馬鹿馬鹿しく思えてきて後ろにわざとらしく倒れこんだ。


「お前ら、人がレポートしているのにそんなにはしゃぐなよ」


指でなぞらなくてもレポートはまだ半分の五千字に少し足りないということは大体分かっている。

それに加えて、すぐ横で楽しそうに話しているのを見せられたら誰だってやる気が無くなってしまう。


「そういえば、おばさんから電話があったんだった」


そういうことは来てからすぐ言うか、電話のときに言えばいいのだが、しっかりしているように見えて肝心なところが妃來は抜けている。



まあ、改めて妃來の口から聞かなくてもどういう内容かはもう分かりきっている。

それに妃來も俺が分かっていることくらいはお見通しなのだが、母親にどうしても伝えてくれと頼まれたのだろう。



わざと妃來に背を向けて大きくため息をついて、そこから少しだけ何も話さずにしようとしたら、後ろで妃來も大きくため息をついた。
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