空を翔ける一筋の流れ星
「また、そういう態度になる。

おばさんだって、翔のことを思って言っているんだから少しは話くらい聞いてあげなよ」


やはり、その話題だった。



大学三年の夏休み、もういい加減に自分の将来のことが見えていないとと言われる年齢と学年になってしまった。

もちろん、卒業まで遊び続けるつもりもないし、卒業してからのことを何も考えていないわけではない。

両親の思い描いているレールに俺は乗っかりたくない、俺は自分で作る道を歩きたいと思っているのだが聞く耳を持ってくれない。

だから、俺も両親の言うことに聞く耳を持たないようになり、そこで新たに被害者になったのが妃來というわけだ。


「おばさんって、翔さんのお母さんのことですか」


俺と妃來を交互に見ながら、何も知らない空が教えてくれとばかりに問いかけてきた。

このまま二人とも何も話さなかったら、何回まで交互に見るのだろうと機嫌のいいときは笑いながら試すのだろうが、今日はとてもそんな気分にならない。


「妃來に聞けよ。

妃來もちょっとならいいけど、あんまり空に余計なことを話すなよ」


この言葉で空は交互に見る行為を一回で止めてしまったが、今はそんなことはどうでもいいくらい機嫌が悪くなっていくのが自分でも分かる。


落ち着け


もう一人の自分がいるのなら、今はきっと必死で俺をなだめているだろう。

それでも、何とかこれ以上機嫌が悪くならないように努力しているつもりだ。
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