空を翔ける一筋の流れ星
アパートの駐車場から部屋を見ると、妃來は約束通り部屋の明かりをつけたまま帰ってくれていた。

その明かりを見ると少しだけ安心し、早足で部屋まで歩く。


（とにかく、謝ろう）


そう心に決め、部屋の扉を開ける。


「あれ？」


部屋の明かりはついているが空の姿が見当たらない。



一体、どこへ行ってしまったのだろうか。

折角、謝ろうと思ったのにいないのではできない、それどころか話すことすらできないじゃないか。


空は人と言えばいいのだろうか

幽霊である空は人なのだろうか


急に公園で考えていたことが頭の中に浮かび、一気に不安という感情がこみ上げてきて必要以上に胸が高鳴り左手で抑える。


幽霊


当たり前のように一緒にいて、忘れてしまっていたが空は幽霊なのだ。

今度は気付いていなかったのではなく、忘れてしまっていた・・・


（落ち着け・・・

落ち着け・・・）


「あっ」


慌てて原付の鍵を取り出し、駐輪場へと走って行く。


「もう、俺・・・

駄目だな・・・」


小さく笑うしかなかった。

現実とは残酷で、いつの日にか涙になるのだろう、いや、ならなければならないのかもしれない。



やっぱり・・・



今は小さく笑うしかなかった。
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