空を翔ける一筋の流れ星
しかし、そこから記憶の光景は更に一変した。



今まで一緒だった三人が、一度も揃わない。



彼女がそれぞれに話し掛けても、何か素っ気ない態度で遠ざかっていく。

友達の女の子と男の子も一緒にいる光景は見られず、繋がっていた三人の絆は脆く崩れ去ってしまった。



これが彼女がこうなってしまった原因なのか?



絆を崩してしまったまま、病気か事故で亡くなってしまい、その思いが彼女をここまで変えてしまったのか?



それはガラス細工よりも小さく繊細な心の持ち主である彼女を、傷つけるには十分過ぎる出来事だったということなのだろうか?



しかし、記憶の光景にはまだ続きがあるようで、彼女が一人で学校を去ろうとしているものへと切り替わった。



三人ではなく、一人で帰る帰り道を寂しそうに歩く彼女。

そのとき、彼女は見てはいけないものを見てしまった。

彼女の視線を辿り、俺もそれを見てしまった。



三人でいつもいたはずの放課後の教室。



その教室に男の子と友達の女の子が二人きり。

そして、ゆっくりと口づけを交わしていく姿を。



そこから一気にビルの屋上へと記憶は切り替わり、目の前には手摺に手を掛ける彼女がいた。

彼女はゆっくりとこちらを振り返り、目と目が合った。

その目には大粒の涙があり、溢れたものは頬を伝って、纏っている服にまで染み込んでいた。


分かったでしょ


口元が確かにそう動き、彼女は手摺の向こう側へと消えていった。
< 84 / 123 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop