空を翔ける一筋の流れ星
駅に着いたのは午後の四時三十分より僅かに前で、学校を出てから一時間くらい経っていた。



駅の階段を下りて多摩川方面へと歩くと、すぐに緑道へと足を進める。

道の脇には心地よいせせらぎを奏でる小川があり、細くなったり広くなったり、途中で池になったりとその形を変えながら延びている。

そこには小さな木の橋や飛び石のようなものがあり、清らかな水辺には魚や水鳥が多く棲んでおり、大袈裟に言えばおとぎ話の世界でも見ているかのような錯覚に陥ってしまうのではないかと思わせる。



案の定、俺の後ろでは嬉しそうに顔を何度も横に振り、視線を奪われている空の姿があった。

その姿を見て少しだけ安心する自分がいて、そのことが胸を痛くさせていた。



そのまま緑地を歩き続けて橋の下の道をくぐり抜け、右手に多摩川が姿を現し、目的地が見えてきた。

もちろん、そこに俺が向かっていることなどは後ろで嬉しそうにしている空は知らない。



ゆっくりと歩き、その場所で俺は足を止めた。それにつられて不思議そうに空も足を止めたが、俺の視界を辿るとすぐに表情が一変した。
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