デスペリア


一番にひどかったのは、見殺しにしてしまったという点において。


もしもばかりが出るが、大切な友人を失ったのだ、過去を後悔するばかり。


もしも、自分が強ければ。


「ごめんね。ごめんね……。私は弱いから」


こんなことに――ミュミュをこんな目にしてしまったと、チルチは謝った。


無力だから救えなかった。無能だから助けられなかった。


大切なものを一つも守れない自身の弱さに喚き、失ったものの大きさに泣いた。



無力は何も救えないのだ。


チルチに突き付けられた現実はあまりにも早く、あまりにも残酷で、あまりにも悲しかった。


恨んだのは魔物ではなく己自身。


消えない映像は忘れることはないだろう。


――その合間に、ミュミュと過ごした日々を見て。


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