デスペリア


全ては奴らのせい。我らの平穏を犯し、住み処を奪い、同志を根絶やしにした。


誰もが躍起になり、誰もが泣き叫ぶのなんて日常茶飯事であった。


私の部下が何人殺されたことか。


歯を噛み締める。
拳を強く握ったあたりで。


「隊長!」


呼ばれたので、拳を解いた。


「何事だ」


「はっ、ご報告致します!南タイガン平原を抜けた敵部隊が進路を変え、リリスの森へ向かった模様」


「なんだと?」


「恐らくは、森にある資源を根絶やしにしたあと向かい討つのかと」


「っ、下郎が」


どこまでも下世話な。


食料や資源、自然の恩恵を断ち切るらしい。そうすれば、武器は作れぬし、貯蔵している食料が尽きれば餓え死ぬ。


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