デスペリア
「ああ。奴らを根絶やしにする」
「死ぬかもしれんぞ」
「元よりそれは本望でもある。戦場以外で死ぬなど、私の意志に反するだろう」
「それはそなたの意思なのか」
オメックが何を言いたいかが計りかねた。つい黙ってしまえば、灰色の目を私から外して、自分の手を見出した。
手のひらを前に出し、僅かに固まり。
「時折、某(それがし)は思う。この戦いも所詮、盤上での出来事でしかないのだろうと」
手が握られた。ぎゅっと、何かを押し潰すようだった。
「ふざけたことを。盤上の戦いなどではない。ゲームとは違うのだ。実際に死者が出る――」
「その死者は、自らの意思で潔く死んで逝くのか?」