デスペリア
その分、数多の死に直面して、幾多の感情を見てきたのだろう。
「死ぬものは皆、泣く暇もなく死んでいった。あっけなく、恨み言も泣き言もなく、とても――地に落ちたグラスのように一瞬で、その中身を辺りに撒き散らした。
某は思う。いや、確信した。これは意図なのだと。全生命の意図なのだと。個人個人の意思など関係ない。生命(我ら)は盤上の駒に過ぎず、どちらかが勝つまで終わりなどない」
慈しみがないはずの表情なのに、私には何故か彼の奥深くが叫んでいるように見えた。