デスペリア
「しかし、拒否をすることはできるのだ。糸は容易く切れる。自らにその“意思”があるのならば」
オメックの手が私の肩を掴み、力強く。
「聞こう。そなたの意思はどこにある」
私自身の有無を問われた気がした。
オメックはやはり優しかった。
私をむざむざ死なせたくはないのだろう。
――死にたくないならば、逃げろ。
遠回しに言ったのは、私の根本をつくためと、誇りを汚さないため。
逃げるのは恥ずかしいことなどではない。外にあるような意志に惑わされず、自分自身に改めて問え。
“生きたくは、ないのか”
「……」