デスペリア
(一)
円卓を囲み、重鎮たちが重々しい空気を放つなか、ニズカはひどく浮いているのではないかと思った。
ニズカは総帥の護衛兵である。だからこそ、こうして国の重要会議を“見物”できるのだ。
決して、参加ではない。ニズカにとっても、総帥以外の奴らにとってもだ。
「で?魔物どもの動きはどうなっている」
地声でも厚みがある低い声で総帥は言う。
会議と言いつつ、これはただのお飾りにすぎない。
総帥が命令を出す。聞いたものがそれをする。否定もせず、文句も出さずにだ。故に会議に参加しているではなく、その実、座る奴らはニズカと同じ見物人に過ぎなかった。