デスペリア


喋りながら、総帥の侮辱になってしまうとごまをする男。


決して、指示が間違っていたと誰も言わないあたりはやはり見物人。主役には言葉を飛ばせない。


頷きもせず、総帥は地図を見続けた。


「マズーヌ炭鉱周辺の街が消えているな」


独り言にも近いが、総帥が言葉を出したならばと、別の男がはいと賛同する。


「このままですと、スライド共和国きっての資源街ルシーダが近々襲われることでしょう」


指を組む、しばし思案する総帥。


「あちらからは何か来たかね」


「はい。一応は、応援を求むという伝達は来たようですが、いかがいたしましょう」


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