デスペリア
「いや。捨て置け」
「総帥の御心のままに」
誰もが賛同する中、一人がおずおずと言葉を出した。
「そ、総帥。お言葉ですが。スライド共和国に借りを作っておくのがいい、かと……。どことも同盟を結ばない資源国なのですから、連邦国に取られる前、これを機に友好を深めれば……」
「君は私の意見が不服と言うのかね」
「け、決してそのようなことは……」
「頭がない君のために答えよう。借りだと?借りなど作ったところで、あの国が我らと同盟を結ぶはずがない。独立から二百年の歴史を、たかが魔物から助けたことで崩すわけがなかろう」