デスペリア


総帥が懐から銃を取り出した。男が息を呑み、頭を下げ謝るが、聞こえないかのように言葉が続けられる。


「魔物に襲わせておけば良い。国としての基盤がなくなったところを我らが突けばいいだけのこと。勝利した魔物どもも“戦っていた”のだよ。

故に、軍勢が劣勢たるそこを突けば、スライドなど糸も簡単に我らが手中に落ちる。

奇しくも、共和国だけでなく連邦国も魔物駆除にてこずっている。優勢な我らより先に、連邦国が共和国を奪いに来ることもなかろう。

分かるかね。我らはただ、地図から消えた国を新たに“開国”するだけで全てが手に入るのだ」


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