デスペリア
「だが、私は違うのだ。全ては国のため、“私の国のため”に指示をする。天秤などかけない。かけるとすれば、利益か不利益かのみ。例え、万の人間が死のうとも私が幸せになるならば、それでいいのだよ」
「実に……人間らしいですね」
「“人間だから”な」
「欲に溺れて苦しくはないのですか」
「欲?欲がなくて何が人間か」
君にも欲はあるだろうにと、癖らしく、総帥は指を組む。
「溺れるのは行動できない人間だ。私は行動ができる。欲を一つ一つ昇華できるのだよ。尽きぬ欲に溺れて苦しむのは、下等な奴らだけであり。
上位の私が苦しむのは、できることを良心の呵責云々と自己満足な罪で抑制することなのだよ」