デスペリア
総帥は、そんな罪意識すらも感じない。全てが自己満足と分かっているから。
だから、平然と他人を蹴落とせる。自分に降りかかる罰など、どこにもないのだから。
「偽善なのだよ。君の考えは。他人を救うのは、自分を救いたいからに過ぎない。ありもしない、生ぬるい罰から逃げるための」
「……、ですが、それでも」
ニズカの指先が震える。総帥という偉大な存在の圧力を受けているからだろう。
こうは話しているも、ニズカにとって何が“地雷”かは分からない。もしかしたら、あそこで野垂れ死んでいる奴の後を追うことになるかもしれない。