デスペリア


「溺れる欲から抜け出すために、全てを救いたいという願望を叶えてみたい、か。ふっ、君の方が人間らしく――」


逸らされた視線で、初めてニズカは生きた心地を味わい。


「人間としては、上出来なのだろうな」


明日もまた、こうした綱渡りをするのだろうと思い馳せた。


終わりはない。
終わりはこの国が終わる時だから。


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