デスペリア
魔物の中に身を投じたせいか、普段では見られない彼らの本質を垣間見たのだ。
こんな城に住むはもとより、下らない会話をし、仲間が死んだなら泣き、故郷のためだと武器を持つ。
姿は気味悪いことこの上ないが、中身はまったくといっていいほど、人間と似た思考なのだ。
知能が低い下等でさえも、怒り、泣いた。全ては人間のせいだと吠えていた。
デジャヴなどではない、見たのは人間と重ねてしまった日常風景。
帝国にいた時も、人間は魔物に仲間を殺されたと怒り、泣き、剣を取っていた。まったく同じだ。