デスペリア


違いなどない。


似た思考だからこそ、戦うのだろう。


全ては平穏のため。


平穏の障害は駆除するしかなく、脅かすならば駆逐するしかない。


人間とて、魔物とて、結局は同じなのだ。


――だというのに。

「おまえ、は……」


その因果から抜け出した目の前の魔物は、“疲れきっている”のだろう。


終わらない戦いにではなく、続いていく殺意に。


思考がある限り――平穏を求める以上、両種族とも殺し合うだろう。


それを“達観してしまった魔物”は、実にこの争いがどれほど滑稽に見えたことか。


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