デスペリア
「クッ、ハハ……」
力なく笑ったのに間違いはなく、実際にシルクは握っていた短剣を落とした。
――滑稽だった。
無様で滑稽で道化だ。誰に踊らされたか知らない、誰の手の上かも分からない世界全体がハリボテにしか見えなくなった。
殺し合っている。
殺し合っているんだ。
気づかない方が幸か不幸かなんか知らない。だが、シルクは気づいた。気づかされてしまったのだ。
この殺し合いの無意味さに。
つまりは――
「俺の人生は、どこにも無かった……」
人生の否定。
己が自身に宣告されたシルクは、窓から身を乗り出す。