デスペリア
(二)
虚ろながらも、耳に残る音がした。
「これが、盤上の運命(さだめ)なのか」
灰目は前を見たまま、下を見ずに、どこか遠くを見ていた。
灰目に映るは、生命に創作された盤上。
殺し殺され、憎みと恨みばかりの色で染まる盤上は、紛れもなく生命(我ら)が創ったものであり。
「もう、変わることはできぬか」
手遅れな創作は着々と残虐を描くのみ。
誰に描かされているとも気づかずに。
「痛みなど所詮は紛い。それより辛いのはそなたの心だ」
赤を撒き散らす“ソレ”は、特に鮮やかだった。