デスペリア


「感情全てが死ねばいい。そうすれば、少しは笑って過ごせるだろうか」


淡い願いは風に持ってかれた。


その願いそのものが矛盾を孕むなどと、死に間際では隅に置く。


――ただ、平穏でいたかった。


それだけだった。


一度大量に液体を吐いて、魔物は音も立てずに、立てることもしなかった。


< 8 / 119 >

この作品をシェア

pagetop