デスペリア
さながら犬の待てのように。
チルチがうーんと言いながら、まずどれを食べようかと迷い、メロンパンを手にした。
ちぎって、ミュミュに渡したところで初めてミュミュが口を開けてパンを食べる。
ミュミュが食べ終わった頃に、またパンをちぎり与える。その繰り返しだった。
――チルチとミュミュの出会いは浅い。
この前と言えるぐらいの日に、チルチが怪我をしたミュミュを拾ったのだ。
恐らくはこの付近で人間に襲われたのだろう。
魔物が悪と教わっていたチルチにとっては容易く想像できたが、きちんとは分かっていなかったのだ。