決断の時
この世界には、自殺防止プロジェクトというものがある。
名前だけ聞けばよくありそうなもんだ。
でも実際は惨いものだ…。
10~11歳にかけて子供達が調査所に集められる。
それも国が決めた何の罪もない子供達が…。
そして、18歳までに少年院に入ったら、少年院で過ごした後、調査所に連れて行かれる。
40年程前までは13歳までが少年院だったらしいが、今は大人の甘やかしや、周りの影響で考え方や行動が幼く、大人と定めるには幼すぎる。
そのため、18歳まで少年院に送ると定められた。
俺が知っているのはここまでだ。
だが…、俺の親友、一瀬 蓮(ヒトセ レン)は、俺の目の前で連れて行かれた…。
助ける事なんて出来たなかった…。
国に逆らったら、俺だけじゃなくて、俺の周りの奴らがどうなるか分からない……。
だから助けようともせず、見てることしか出来なかった……。
「かぁちゃん。行ってくるわ…」
「あぁ、行ってらっしゃい。気をつけるのよ。」
かぁちゃんはニコッというように微笑んで俺にそう告げた。
それに対して俺は無愛想な返事をするだけ。
「分かってる。」
そう言って学校に行く。
それが今の俺の日常だ。
昔っから無愛想だったのでは無い。
自分で言うのもあれだが、昔はもっと笑ってて、楽しい毎日だった。
今が別に楽しくない訳じゃない。
何かたりない、大切な奴がいない、心にぽっかり空いたような毎日なだけだ。
蓮が連れて行かれてから…な。
未だ前に進めず止まってる、臆病者なんだ俺は……。