それでもオレは愛してる(>_<)
 「そういや、あの男、最後まで名乗らなかったし、名刺も出さなかったねーっ。」

 意外と、観察してたんだね、智代。

 「そ、れ、に、受付から、会議室行くときにっ!

 両手一杯書類抱えてる女性が、通りかかったじゃない。

 それをだよ?

 『大変そうだから、手伝おうか?』じゃなくて、『おい、キミ、会議室にお茶を持って来てくれ』だよ?

 上から言ってるのも、気に入らないし、お茶くみが、特殊技能だってわかってないのが、もっと気に入らないし、何より、行く時間知らせてあるんだから、事前に用意しておくのが、普通じゃないわけっ!」

 あ、ヤバイ。すっごいヒートアップしてる。

 たしか、怒りのボルテージで変身するヒーローがいたけど、今のわたしが、そのヒーローだったら、軽く3回は変身してるわねってぐらいに、ぐらぐら煮立ってる感じがするわ。

 「まあ、まあ、しい。お茶くみが、粗雑に扱われてる感じが、嫌だったのね?」

 優しく、そう言いながら、運転席から、上目づかいでちらっと見てくる。

 うっ!ずきゅんってくる。

 わたしの好みを把握している智代なんて、キライだいっ。
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