脇役≠ヒロイン

帰ったらご飯作らなきゃとか、千里は無事に帰れるかなとか、一生懸命別の事を頭に浮かべてもこの恥ずかしさは何処にも行ってくれない。


「どうかした?」

「へ?な、なにが?」


心配するように問い掛けられて、慌てて顔を上げる。


「何か急に静かになったし、もしかして晴世の方が良かった?」


送るの、と苦笑いしながら言った眞野に、全力で首を横に振る。


「違うよ、あいつに送って貰うんだったら邪魔なの承知で千里達と帰るよ」

「はは、あいつも嫌われたもんだな」


眞野は笑うと目元が優しくなる。


「ただ、、、」

「ただ?」

「ん、眞野と二人っきりって初めてだなぁって」


胸がドキドキしっぱなしでどうしたら良いか分かんない、なんて本当の事は言えない。


「そう言えばそうだな」

「うん」

少し考える仕種をして眞野は頷く。

それを横目で見ながら、格好いいな、なんてまるで恋する乙女みたいじゃないか。


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