脇役≠ヒロイン


「兎に角、人の事馬鹿にする前に自分の髪どうにかしたら?」

「黙って聞いときゃ……あんまり調子に乗んなよ」


ポカンとしていた赤い奴も、カチンと来たのか私の胸元を掴もうと手を伸ばして来る。


「確かにその色はないよねー」


とてつもなく聞き覚えの有る、間延びした話し方。
嫌なくらい、聞き覚えの有るその声に反応したのか伸びてくる手がピタリと止まった。


「なっ、東雲?!」

「こんな所で何してんのー?」


こっちの状況なんて気にしてないみたいに、まるで友達と話をしてるかのように、ゆっくり近づきながら話し掛ける。

でも、目の奥が笑ってない。
顔はいつもの様に緩く笑っているのに、笑ってない。


「お前っ、何でここに……」


赤い奴も周りの奴等も、東雲がここに居るのがあり得ないとでも言うような反応を示した事に私は不思議に思う。

ここはZero の、言うなれば縄張りなのだから東雲が居るのは、まぁ当たり前と言えば当たり前の事。





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