十†字†路
「スサノミコト…男だよな?」
「男ですよ」

ワタシの長い髪を見て警察官が問う。
先の方でくくられたワタシの髪は、腰ぐらいまで伸びていた。

「背、高いね。羨ましいよ」
「ありがとうございます」
「何歳だ?」
「26ですよ」

雑談、質問を混ぜつつ、本題へ。

「で、何の為に彼女に付きまとったんだ?」
「不幸だから、ですよ」

不幸を取り除く、或いは吸収する。
自己判断、
ソレがワタシの才能。

かなり大きな不幸だと予知さえ出来る。

「悪いが俺は超能力の類は信用してないんでね」
「そうですか。まぁ信用しろとは言いませんよ」

言っても信用しない。
特異な才能を信用するのは、特異な才能を持つモノだけだから。

「まぁ、いいさ。今回は警告だけだ。もう帰っていいぞ」
「お手数かけましたね」

立ち上がり部屋から出る。そんなワタシに警察官が最後に忠告した。

「しつこい様だと捕まえるからな?」
「構いませんよ。もう関わることもありません」
「そうなのか?不幸云々は?」
「彼女はもう不幸じゃありませんよ。たってもう…」

既に手遅れですから。

そう言った瞬間に、救急車のサイレンが聴こえてきた。

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