十†字†路
「う、ウソだろ……」
「そうだよ!私の可愛く可哀想な教え子だ。お前が変な事をした、な」

もうワタシの視界は彼女しか映していなかった。

ワタシは少女を。
少女はワタシを。

お互いに停止した空間の様に、見つめあっていた…

「ヒィヒィ……いやー、女の趣味が解らんヤツだったが…まさかロリコンだったなんて…アハハハ!」

腹を抱え、ホントに苦しそうに笑う彼女の声で我に返る。

ロリコンという見当違い甚だしい言葉が、意識を連れ戻してくれた……って!

「なッ!?違うぞ!ワタシは変な事なんてしてないよ!」
「どうだか…こっちには証人であり、被害者であるこの子がいるんだぞ!ホラ庵樂、言ってやりな」
「あの……変な事、はされてないです…」

少女の一言で空気が固まる。

女性は唖然と、
ワタシはは安堵で、
彼女は依然爆笑。

「……へ?されてないの?エッチな事とか屈辱的な事とか以外と嫌じゃない事とか…」

「されてませんッ!」
「してませんよッ!」

二人で絶妙にハモる。

ふむ…よく解ってきた。
どうやら女性は先生みたいな保護者的な人なのだろう。
そして、ワタシは変質者と勘違いされているようだ…

心外だ…
実に心外だ…
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