十†字†路
「だから今日はコレで終わりッ!また後日にコイツを送るよ。アンタもそれでいいだろ、命?」
「……え?あ、あぁワタシは構わないよ…」

急にふられて思わず返事をする。
どうやら話は済んだ用だ。

「じゃあね美雷に不幸少女。また会いましょう」

バイバイ、と彼女は手を振りは歩き出した。

ワタシも置いてかれぬ様、歩き出す。
チラッと背後を見ると、少女は力無く笑っていた。

その笑顔を見る度にワタシは思う……

明るく朗かに、
力強く豊かに、
そして、
幸せで満面な笑顔を、

少女にはしてもらいたい、と……

少女…妹にもそれを願い続けたから…

叶わぬ願いと知りながら…ワタシは妹の輝く笑顔を見たかった…

ワタシは無力だった…
愛しき少女一人、救えぬぐらいに無力だった…

今!
このチカラがある今なら!
妹を救えたのにッ!

やるせない気持ちで唇を噛む…

恐らくワタシは、亡き妹の姿を少女に写しているのだろう。

不幸だが必死に、
不運だが懸命に、

笑顔を作る少女、庵樂幸菜に……

ワタシが救いたいのは庵樂幸菜なのだろうか?
妹…須佐野迷なのだろうか?

それとも……
無力だった昔のワタシ自身なのだろうか…?

< 106 / 124 >

この作品をシェア

pagetop