十†字†路
☆表十字路~第五章~

明路7・懐古記憶~memory~

◆ ◇ ◆



夢を見た…
昔の夢を見た…
いつの頃だったか…
遠い昔…

懐かしい記憶。
切なく儚く脆く消え行く、死ぬ前の走馬灯の様な記憶。

お祖父ちゃんがまだいた時だから…十年近く前かな?

田舎…
田んぼとかあるワケじゃないけど、山奥の田舎。
木に林に森に…文字通り木ばっかりな所。
コンクリートと木、そんなイメージ。

そんな場所がお祖父ちゃんの住む地域だった。

子供の私には楽しかった。
虫取網片手に麦わら帽を被り、お祖父ちゃんとよく遊んだっけな…

両親はそんな私達を見て微笑んでいた。
大きな虫を捕まえて自慢するたびに、驚いて…笑顔で褒めてくれた。

お祖父ちゃんは負けじと高い所の蝉を取り、自慢した後に私にくれたんだ…

そんな懐かしい記憶が、どうして今頃になって夢に出てきたのだろう?

この夢が何かを伝える誰かからのメッセージじゃないか、と私には思えてならない。

よく思い出そう…
夢の端から端まで…
記憶の隅から隅まで…

懐古の記憶を辿って…

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