十†字†路
「そろそろだな。ここ左折だっけ?」
「そうよ。ユキちゃん、着いたわよ」

車が左折すると、お祖父ちゃんの家の近くに着いた。
駐車する前に私は車を飛び出た…危ないなぁ…

「あ!?ユキちゃん!もう…あなた、駐車しといて」
「あぁ、解ったよ。ユキをよろしくね」

昔から私は危なっかしい存在だったようだ…

「おじーちゃん!こんにちわー」

チャイムを押して大声で言う。静かな田舎だから近所迷惑だろう。

「よく来たねユキちゃん。よいしょっと」

私を抱えて喜ぶお祖父ちゃん。

もう涙がでそうだった…
この頃はお祖父ちゃんが死ぬだなんて考えてもいなかった…

「お父さん、ただいま」
「おかえり、唯。さ、あがりなさい」

父が駐車を終えて一緒に入る。

居間で話をするが、すぐに私はソワソワしていた。
家族の団欒も私には退屈な物だったらしく、すぐに外に行きたいと言い出した。

「もう…ユキちゃんったら…」
「よし、可愛い孫の頼みだ。じゃあ行こうかの」
「すみませんねお義父さん」

私は用意し、お祖父ちゃんを連れて外へ出た。
お気に入りの麦わら帽をかぶり、夏の日射しを体いっぱいに浴びて、駆け出した。

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