十†字†路
怪しい微笑み、
差し出す大きな手。

年上の彼、
年下の私、
チグハグで、
凸凹な、
…そんな二人。

この光景を見て理解した。

私の中の…
危険感知能力が、
危険警報を、
大ボリュームで叫んでいた。

「ワタシは不幸な人を救うチカラがあってね」
「あの…」
「不幸な君を救いたいんだ」
「いや…」
「どうだろうか?」
「結構です!失礼しまッす!!」

駅に向かってダッシュ。

振り返らず、
全力で、
人の波を縫うように、
私は逃げた。

走りながらも定期を出し、改札を速度落とさず通過して、そのまま飛び込み乗車。

ドキドキ鳴っていた心臓は、今やバクバクと唸っていた。

な、なな、ななな…

「なんだったんだ!?」

静まれマイハート。
落ち着けマイブレイン。

とりあえず整理する。
あの場の特徴は…

日暮れ前、
大人の男、
美少女な私、
救いたいとかいう言葉、
不幸な私を救いたい。

クールにスマートに、
熱くならず、単純に考えれば…

アレは…

変質者で、
少女誘拐魔で、
宗教勧誘で、
怪しい人。

つまり…

「私、危なかった!?」

今日一日の最大の不幸、
それは…

変質者に狙われた事だった…

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