十†字†路
☆表十字路~第四章~

明路5・綺麗才女~Lady~

◆ ◇ ◆



天は人の上に人を作らず、人の下に人を作らず。

人間は公平に、
人間は平等に、
幸せは均等に、
幸せは共通であるべきだ。

だけどね……
世の中不公平である。

人の上に人を作り、
人の下に人を作る。

そこには努力では越えれぬ壁があり、
そこには根性では埋めれぬ溝がある。

壁は万里の長城の様に高く、横は果てしない。
溝はクレバスの様に深く、これまた横は果てしない。

何が言いたいか、というとね……



「ふーん。職員室は東館一階の一番端か。ありがとうお嬢さん」
「い、いえ、お役に立てて光栄です……」

じゃあね、と去ってゆく女性。
校門前で校舎を眺めていて、目が合ったから職員室の場所を訊かれた。

ただそれだけなのに…
ただそれだけなのにぃ…

「この敗北感……」

美人、長身、細身、豊乳。
総てにおいて負けた…
勝ったのは若さだけだ…

いや、若ささえ無力に感じる。歳を取ることで魅力が上がっている。

完璧理想像。
完全敗北。

人間は平等?
人間は公平?

不幸関係無く、ここまで不公平を感じるなんて…

「世の中、絶対的に不公平だ…」

そう言いつつ、私は彼女に惚れていた…

< 65 / 124 >

この作品をシェア

pagetop