十†字†路
「悪い陰気を祓い、更に心に陽気を入れる事で幸運を呼ぶのさ。ま、霊能者じゃ胡散臭いって思われるからね、職業を名乗る時にはセラピストや癒し屋を名乗ってるんだよ」

成程。
確かに霊能者なんて職業、実に怪しすぎる。
怪しいってことは近寄りがたいモノだからね。

やることは一緒。
人を落ち着かせ、悪い気を取り除く。
正にマインドセラピー。
これなら全然怪しく無い。

さしずめ、風水師はカラーコーディネーター、占師はカウンセラーと名乗れば売り上げが上がりそうだ。

「でね、アタシは癒し屋だなんて名乗ったけど、実際に霊能者でもあるんだ。だからさ、美雷に頼まれたんだよ。アンタを救ってやってくれってね」

クイッと顔を近付けて私を見る。
その後、彼女は頭を左右に振りながら言った。

「結論から言おう。アタシじゃアンタを救えない」

両手を左右に広げ、お手上げのポーズ。

「なんでだよ!?零でも無理なぐらい強力な悪霊なのか?」
「違うよ美雷。この娘はね、何物にも取り憑かれてないんだよ」

悪霊なんかには取り憑かれていない。
つまり……

「この娘は正真正銘、ただの不幸な少女なのさ」

死刑宣告よりも衝撃的な発言が、私を襲った…

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