十†字†路
そこには…
少女がいた…

まだまだ幼い顔をした…
救い難い少女がいた…

不幸な少女…
確かにこの少女なら、零でも救う事は出来ないだろう。

再び会う事があるなんて…
なんて最悪で最高な運命だろうか。

あぁ…そうか…
コレが彼女の言っていた最良の運命なのか…

彼女を見た瞬間に、今回の仕事内容を理解した瞬間に、ワタシは自身の顔が蒼白になってゆくのが解った。

血の気が引く、正に文字通り血が薄れてゆき、顔面が冷えてゆく。

そして意識が…

ゆっくり…ゆっくりと…

遠のいてゆく…





ザ……

『私が召されれば…全ての人が幸せになれるのですから…』

ザッ…

『今も昔も私は禍をこの身に刻んできました…そしてこれから先も…ずっと…』

ザザッ…

『願うならば…私は生きて貰いたいです…例え私が不幸であっても…!』

ザッ…
ザザッ…
ザ―ッ……



消えそうで消えない視界の中、テレビの砂嵐の様な世界で、ワタシは彼女の本質の片鱗を垣間視た…

なんなんだ…この少女は…
有り得ない…こんな大きな不幸…多種多様な不幸は信じられない…

ホントに…信じられない…

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