夢の続きで逢えたら

僕らが家の前まで行くと、祖母が迎えてくれた。



「来てくれたんだね一軌。元気だったかい?」

「久しぶり、元気だよ。おばぁちゃんも元気そうだね」



僕は家の中へ入ってまず、

祖父の遺影が飾られた仏壇の前に正座し、線香をあげ、両手を合わせた。



祖父は三年前に他界していた。



その時、母さんや父さんは祖母に気をつかい、

東京で一緒に住むよう説得したが、

祖母は、自然に囲まれたこの環境と、住み慣れたこの家が好きで、

その意見を受け入れなかった。



祖母は七十歳でまだまだ元気だが、

心配していた母さんは週に二、三度、

祖母の様子を見に来るように、介護士を手配していた。



これだけ広い家に独りで居るのはあまりにも寂しい。


元気な孫の姿を見ることが、何よりも嬉しいはずだと思い、

今日ここへ来ることにしたのも、

僕にとって、大きな理由のひとつだった。




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