夢の続きで逢えたら

僕が居間に行くと、

今度は父さんと母さんが立ち上がり、仏壇の方へと歩いていった。



「一軌、スイカでも食べるかい?」

「冷蔵庫にあるよね?僕が切ってくるよ」


祖母はコクリと頷き、僕に礼を言った。



台所の横にある冷蔵庫を開けると、

中はスカスカで、ほとんど物は入っていなかった。


一人しかいないのだから無理もない。


大きめの冷蔵庫からは想像もできない寂しさに、

なんだか今の自分に似通ったものを感じた。



適当な大きさに切り分けたスイカをテーブルの上に置く。


「あら、珍しいわね。一軌が手伝いするなんて」


仏壇から戻った母さんが、疑うような目で僕を見た。


「そうかな」


僕は一人、縁側に座り、

スイカ片手に、そこから見える畦道を見渡した。



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