夢の続きで逢えたら
「でもさ、あれはちょっと古くないか!?」
「そうかな」
石段に腰掛け、訴える浩二に僕は言った。
「うん。あれは昭和の表現だろ」
「いいじゃんよ別に。詩野だって喜んでたみたいだし」
そう言って、大輔が隣りでタバコをふかし、眉間にしわを寄せる。
「一軌もそう思うだろ!?」
「うん。まぁ…」
「そうか?俺には苦笑いにも見えたけど」
「うるせーな浩二は」
そう言うと、大輔は煙を勢いよく浩二の顔に向かって吐き出した。
「ちょっ!ふざけんなよお前!」
目の前の煙を手で払いながら咳をする浩二を見て、大輔は、
「ざまぁみやがれ」
そう言ってゲラゲラと笑う。
「もうお前には女を紹介してやらん!」
「別に困ってないんで」
舌を出し、おどけてみせる大輔に浩二は何も言えず、
悔しそうな表情を浮かべた。
「もう始まった頃かな…」
僕が不意に漏らすと、二人もじゃれ合いをやめ、
中心にそびえ立つ時計台を見つめた。
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