夢の続きで逢えたら

――十二月一日。

オーディション二次審査当日。


この日は生憎の雨だった。

僕は一人前回と同じ会場で、詩野を待っていた。

冷たい身体を揺すりながら、辺りを見回す。

案の定、人の数は五分の一程に減っていた。


係員の人が何やら言っているが、傘に当たる雨音が大きくてよく聞こえない。

早くしないと始まっちゃうよ。

何してんだろ。




「ハァ、ハァ…もう最悪」

足元を濡らしようやく現れた詩野に、とりあえず、

「大丈夫?」

そう声を掛けた。

「あれ?各務くんだけ?」

「あぁ、浩二はあとから来るよ。大輔はどうしても外せない用事があるみたい」

「そっ、そっか。ありがとう各務くん。一人なのに来てくれて」

「それより大丈夫?息あがってるけど」

「うん。なんとか。ちょっと寝坊しちゃって」

「もうみんな会場入ってるけど?」

「え?大変!急がなきゃ!」

詩野は息を整える暇もなく、走り出した。


「頑張って!」

「うん!ありがとう!楽勝で通過してくる!」



大丈夫かな?


「余裕だな〜詩野ちゃん」





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