夢の続きで逢えたら
十二月二十三日。
オーディション最終日前日。
午後六時。
大学を終えた僕と大輔が一足先に公園に着いた。
「一軌、見ろよ。今日も結構いるな」
二次審査を通過した時から、
詩野はきっちり六時に歌うようにした。
それを知った人たちが、こうして集まるようになったわけだ。
「遅いな、詩野。もう二十分だぞ」
「どうしたんだろ…みんな帰っちゃうよ」
「ごめんごめん!」
声のする方を見ると、浩二が走ってやって来た。
「なんだよ、浩二かよ」
「なんだその言い方、悪かったな俺で。あれ?詩野ちゃんは?」
「それがまだ来てないんだよ」
「また遅刻!?詩野ちゃん二次も三次もギリギリだったよな?明日大丈夫か?」
「どうだろ」
「電話は?」
「出ないよ」
「何してんだよまったく」
僕ら三人はどうすることもできず、地べたに座り込んだ。
さっきから妙な胸騒ぎが止まらない。
いつもは遅刻なんてしないのに、
二次や三次の時といい、今回といい、明らかに様子がおかしい。
もしかして…
「まさかな…」
「どうした一軌?」
「え?いや、なんでもないよ」
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