夢の続きで逢えたら

…―――

「どうしたの?さっきから時計ばかり気にして」

「いえ、ごめんなさい。なんでもないです」


「とにかく、明日は行かないように」

「そんな…」

「わかった?」

「どうしてもダメですか!?」

「歌うことは、思ってる以上に体力を使うんだ。だから今は歌も歌っちゃいけない」

「でも…やっとここまで来たんです!あと少しなんです!」

「一日の朝、君が倒れたと言って僕の所に来た時は驚いた。その時は大目に見て二次審査に行かせたけど」

「………」

「三次だってそうだ。でもやっぱり身体への負担は誤魔化せない。昨日の夜中も、めまいで倒れたんだろ?」

「……はい」

「なら尚更だ。最終は諦めなさい。しばらく様子を見て、またチャレンジすればいい」

「でも…」

「僕だって行かせてあげたい。でも医者である以上、君の身体を第一に考えなきゃいけないんだ。わかってくれるね?」

「私には…わかりません」

「もう歌えなくなるかもしれないよ?」

「それは……」






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