夢の続きで逢えたら
と言うのも、
僕が父さんの話を興味深く聞いてると知った途端、
父さんはいつも同じことを何度も繰り返し、
延々と話し続けるからだ。
それに、
僕が実はあの場にいたということを知られたら、
それこそ何を言われるかわからない。
だから黙っておくのが得策なんだ。
「一軌、お前も夢や目標を持って生きろよ!ハハ」
もう聞き飽きた。
僕だってあの若者と変わらないのはわかってる。
なんとなく生きていて、それでいてなんとなくそれが気持ちいい。
人は、なんのために生きているのかがわからないし、
もう考えるのも面倒臭くなってきた。
いいじゃないか、今のままで。
その日暮らしをしていれば。
明日は明日の風が吹く。
そうやってまた自分で勝手に納得してしまう癖が好きではなかったが、
難しいことで悩むよりは良かった。
「わかってるよ。僕だって夢くらいあるから」
「そうか。ハハ」
そう言うと父さんは、
鼻歌を歌いながら嬉しそうに寝室へと入っていった。
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