夢の続きで逢えたら

「もしもし」


「………」


「大輔…?」

「ごめんな一軌。電話出れなくて…。体調は?」

「もう平気だよ。それより……」


僕は何から聞いていいのかわからず、言葉に詰まった。


聞きたいことは山ほどあるはずなのに。


どうして?

脳が『何も聞くな』って命令してる。


「一軌、今どこだ?」

「…公園だけど」

「やっぱり…。今浩二がそっち向かってるからもう少し待っててくれ」

「え…うん。でもなんで?大輔は?詩野は?」

「俺と詩野は行けない。いいから待っててくれ。頼む…」

電話越しに大輔の真剣さが伝わってきた。

だから僕は『わかった』と、一言だけ言い残し電話を切った。


みんなに何が起きたっていうんだ。

どうして二人は来れない?

頭を抱え、僕はその場に座り込んだ。


心臓の音が聞こえる。

全身に不吉な予感が駆け巡った。




噴水がピタリと止まる。

そして、静寂に包まれる暗闇の中、僕は浩二が来るのをひたすら待ち続けた。





.
< 180 / 220 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop